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長谷川新多郎の備忘録。最近は写真中心。


by phasegawa
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最近の日経文化面

この3ケ月程の日経「私の履歴書」は迫力がある。2月は、95歳になっても「私には『引退』という言葉はない」と言い放つピーター・ドラッカー。ウィーンの役人の家に生まれ、幼少期からフロイトやトーマス・マンと親交を持ち、ハプスブルグ家の凋落やナチスの台頭を肌身で体験、新聞社の見習い編集者からチャンスをつかんで文筆家、コンサルタントとして頭角を現して行く様は、現代経営学の父の名に相応しく興味深かった。
3月は、免疫学者、石坂公成。「基礎科学者はたとえ何かの発見をしても、それは元々自然がつくったものである。でも、自然のすばらしさは感激に値する。基礎科学者は誰もほめてくれなくても自然の美を発見したことに満足なのである。」、「英語で嘘をつくことができないので、嘘をつくことを忘れてしまった。照子の場合は正直の上に"ばか"がつく。幸いにして正直であることは科学者にとって最も大切な資質であった。」終盤に語られた夫婦愛はあまりに美しく、思わず同氏の著書が読みたくなったのだが、あいにく品切れのようだ。
今月は、農民県新潟では珍しい起業家である、ヨネックス創業者の米山稔。家業の下駄屋から魚網の浮き作りに進み、浮きが桐材からプラスチック製に移行すると、バトミントンのラケット作りに進出。OEM先の倒産、本社工場の全焼といった苦難を乗り越えて日本一、そして世界へ、というところまで話は進んでいる。
さて、そんな感動の連載から距離にしてわずか7cmしか離れていないスペースで、ネチネチとスケベエネルギーを発散し続けているのが「アイルケ」こと渡辺淳一のエロ小説である。偉大な「私の履歴書」執筆者に対してあまりに不遜な行為ではないかと気が気でないのだが、読者からのクレームはないのだろうか。もっとも、以前にも言及してしているが、結局私も毎日欠かさず読み耽けてしまっており、己のスケベさが恥ずかしい。
ところが、そんな羞恥心を爽やかに吹き飛ばしてくれる書き込みを見つけた。日経読者なら笑えるんでないか。That is 「なりきり愛の流刑地」。
by phasegawa | 2005-04-18 00:01 | review