長谷川新多郎の備忘録。最近は写真中心。


by phasegawa
カレンダー

『死ぬまでにしたい10のこと』

すっぴんで可愛く、強い女は、他に何もいらない。
余命2ケ月と宣告されても黙ってやるべきことをリストアップし、淡々とこなせる主人公は魅力的に描かれていた。なので、癌の末期のボロボロな身体や苦痛に顔をゆがめる壮絶シーンがないことも、最後まで自分の思惑通りに事を進めようとするわがまま放題であったこともとやかく言うまい。良き夫がいながらなぜ不倫に走る、と疑問視する声があったが、それを意識させないほどに場面場面は美しくスマートだし、むしろ育児やマンネリ化した日常の全てから解き放たれたい欲望には自然に共感させられる。17歳で初キスした男とすぐ結婚、2児出産、トレーラー暮らし、父親は監獄、男は求職中、といった具合で充分過ぎるほど駆け足で息の抜けない23年間の人生という設定なのだし。原題は"My life without me"。ピンクのパッケージが上手い。

私だったら、どんなリストを用意するだろう。
さしあたり、墓は新調したばかりだし、棺桶に入れてもらいたい物は妻に伝えた。

彼女がその晩、喫茶店で書いたメモ。

THINGS TO DO BEFORE I DIE
1. Tell my daughters I love them several times a day.
2. Find Don a new wife who the girls like.
3. Record birthday message for the girls every year until they're 18.
4. Go to the Whalebay Beach together and have a big picnic.
5. Smoke and Drink as much as I want.
6. Say what I'm thinking.
7. Make love with other men to see what it is like.
8. Make someone fall in love with me.
9. Go and see Dad in Jail.
10. Get some false nails. (and do something with my hair)

しかし、いざ死を前にして本当にメイクラブに夢中になりたくなるんだろうか。実際はそれどころじゃないんじゃないか。癌だったからまだいいとして、AIDSみたいに伝染る病気だったら相当怖い存在だ。考えてみると、突然の死期宣告という実はあまり実感の沸かない設定を持ち出すことで、いつ死ぬかわからないんだから今不倫したっていいのよ、今機会がなくても死ぬまでにはいつかチャンスはあるわよ、死ぬ気になったらいつでもなんでも願いは叶うのよ、と現世を享楽的に生きようとする観る者を肯定し、励ましてくれる映画にも思えてくる。
[PR]
by phasegawa | 2005-09-09 23:57 | review