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長谷川新多郎の備忘録。最近は写真中心。


by phasegawa
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新聞記者の人

先日の記者クラブでの党首討論の一部をテレビのニュースで見たが、党首同士の応酬よりも、ベテラン記者から小泉さんに対する質問の口調の烈しさに驚いた。もっとも、相変わらずのらりくらりの小泉さんに対して、ギリギリと鋭く切り込んだり、どやしつけたりしたい人の気持が私にも理解できなくはなく、岡田さん以上に小泉さんをたじろがせる厳しい質問に興味をそそられたのは事実である。

しかし、為替王さんは、記者たちが「高圧的で態度が悪く」「質問内容もあまりに稚拙」と冷ややかに評していた。確かに、「(刺客を送り込んで)心は痛まなかったか?」、「自身が納得するまで解散を続けるのか?」といった質問の回答を聞いたから、国民にとって何か貴重な情報が得られるという訳ではない。むしろ、記者の追及に首相がしどろもどろになったり、言葉を失う様にこそ、為替王さんではなく、私のような野次馬視聴者が見て溜飲が下がる思いを味わえるだけのことかも知れない。

国民の民度を反映するのが政治家であると言われるが、国民の聞きたいこと、見たいことを反映するのがマスコミでもある。福知山線の電車事故で「あんたらみんなクビや」「もうええわ、社長を呼んで」とJR西日本に噛み付いた記者には明らかな違和感を禁じえなかったが、読者の気持を背負って代弁しているとの想いがそこまで記者を駆り立てるのだろうか。とすれば、言わせているのは、マスコミのパフォーマンスにそこまで期待しているニュースの消費者であるともいわねばならないか。消費者の期待感によって増幅されているかも知れない、記者の大きな正義感を見せつけられてしまうと、それはそれで怖い。

極東ブログが朝日新聞「虚偽メモ」事件をじわりじわりと分析し、切られる地方の人間がいる一方で、守られる東京の人間がいる可能性を示唆していた。ああ、そういうことかもしれないと思ってしまう。

朝日新聞の記者と10分間位しゃべったことが過去に1度だけある。大学5年目の夏に、節操無く就職活動をしていた時、筆記試験をやった次の面接時の試験官の記者は、私が着席するやいなや、こちらの顔を見るよりも、履歴書や志望動機の書いた用紙を赤鉛筆を引きながら目を皿のようにして読んでいた。ほんの十数秒の出来事であったが、あれは誤字探しの校正をしてたのか。初対面の目の前でいきなり赤鉛筆を引きまくる大人の姿にびびった。次に衝撃的だったのは相手の質問である。「あなたの知性はどうなんですか?」確かそんな問いだったと記憶するが、何と答えたのかは覚えていない。想定問答対策など何もない、馬鹿な私の入社試験はそこまでで終わった。独特の猛烈な烈しさの中で揉まれている、プライドの高い人達なのかなあと感じつつ帰ってきた。あのときほんの少しだけ覗いたマスコミの内側の印象の記憶は、冒頭の記者クラブでの様子や若手記者の懲戒解雇のニュースに重なっている。
by phasegawa | 2005-09-02 06:50 | diary