長谷川新多郎の備忘録。最近は写真中心。


by phasegawa
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某社編集長と

中野坂上の平成屋にて飲む。
新プロジェクトを立ち上げようかという話を聞き、ぶったまげる。
「だって、なんか閉塞していて面白くないじゃん。」
それはそうなんだけど、こっちはその閉塞された世界に順応しようと必死になっていたところだったのに・・・。
出版社は、時間をかけて築き上げた営業力やパブリシティ力というインフラがあって初めて成立すると言っていたのは誰だったか。
「どうせ、ほとんどの編集者なんてたいしたことないんだよ。」
そこまで言いますか。はい、私なんてゴミです。あまりにスケールの大きな話にほとんど対応しきれずじまい。だが、未経験者の夢物語ではなく、実績を出している人に言われると企画外の発想であっても説得力がある。

出版に関わって4年目になるが、これまで業界の特性には随分驚かされた。例えば返品。毎日日本では200点の新刊が誕生していることを思えば、当たり前とも言えるのだが、つい自分が作る本への思い入れから自己中心的になりかねない。「撒く」という表現があって、取次に「とにかく撒きたいので、よろしく」と言うと、それなりの冊数を出荷できる。が、一時の出荷と最終的な売上は全く一致せず、5,000冊出した後に4,000冊戻ってきたこともあったっけ。なんだそれ。返すんだったら、最初から受け取らないでよ、と言いたくなる。大量の返品在庫を積み上げた、倉庫の光景を見たときは、なんと地球に優しくない商売をしていることかとゾッとしたものだ。

刷り過ぎの失敗を重ねた私は別格としても、多くの同業者にとって返品は死活問題であるはずだ。限られた旧知の間柄の人間関係で構成された、版元-取次-書店という太いパイプの循環構造の中、返品率40%あたりの線で一喜一憂を重ねてきている人々が大多数ではなかったか。

新プロジェクトは、既存の強固な流通の仕組みに対し、ブレイクスルーとなることをも企図しているらしい。出版業は、本の企画を考えるだけでも脳みそを酷使するが、消費者まで確実に届くマーケティングを考え抜くことは本当に大変であると思う。大変であっても、新規参入が難しいくせに、現実には制度疲労の進行を感じさせる業界に一石を投じることは意義深い。とても楽しみである。
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by phasegawa | 2005-03-05 03:58 | diary