長谷川新多郎の備忘録。最近は写真中心。


by phasegawa
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『対岸の彼女』

等身大の人を語るのが上手いという著者。なるほどこれは共感を得そうだ。「他者との付き合い方」に怯え、戸惑い、一定の距離を置きたいのだけど、一方で誰かとわかり合いたい寂しさを感じている人。高校生の頃の自分と今の自分とで何が違っているのか、いったいいつまで自分は自分のままなのだろうと思う人。そんないまどき風の人物らを、自在な空間軸、時間軸の中でたんたんと描いている。話は単純なのだが、感情移入を誘う筆さばきは巧みだ。
本書の登場人物はほぼ女のみである。女の世界の話であっても気にせず買って読んだ理由は、直木賞受賞ということも大きいが、書評などに友情の話と書いてあったからかも知れない。「所詮女の友情なんて・・・」という言い方があるが、少なくとも私には友達と呼べる人が少なく、私の周囲の男達も似たような状況に見える。私の妻の男友達は、私の男友達よりも多いくらいで、女友達の数にいたっては2桁違いそうである。女達の友情の秘密がわかると、私に友達がいないことに何らかの納得できるヒントが得られるのではないか、そんな想いが頭をよぎったか。で、結局、男の私でも感情移入できる部分はあったのである。ラーメンを食べながら娘に語りかける父親のシーンばかりでもなくである。
それにしても、この本の広告コピーは本の内容とまったくかけ離れている。
「全身で信じられる女友達を必要なのは、大人になった今なのに・・・  ともに35歳、子持ちの「勝ち犬」主婦・小夜子と、独身・子なしの「負け犬」女社長・葵。ふたりの間に真の友情は築けるのか!?」
売上最大化のためには、出版社は確信犯になる、ということなのだろう。
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by phasegawa | 2005-02-03 19:19 | review