長谷川新多郎の備忘録。最近は写真中心。


by phasegawa
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『日本電産永守イズムの挑戦-すぐやる 必ずやる 出来るまでやる』

気にかけていた日本電産の社長を書いたを店頭で見つけたので即購入、即読了。
社会人1年生の頃、私はこの永守氏と私の勤め先のボスが対談した新聞記事を何百枚とコピーしては、会社案内に挟み込んで毎日飛び込み営業をしていたものである。その明快さと烈しさ故に尊敬できる経営者。この本によって永守氏の新たなエピソードを知ることとなったが、いずれもさもありなんというピシッとした話だった。
自ら率先してのハードワークは有名だが、1年のうち休むのは元旦の午前中だけ、後は365日働き、毎朝一番に出社、夏休みなしとは知らなかった。
新入社員の採用試験を弁当の早食い競争でやった話は知っていたが、この試験は継続できるものでない。翌年は、便所掃除試験、翌々年は試験会場先着順、更には大声試験、留年組専門採用試験をやっていたという。学歴や成績があてにならないことを自社のデータから確信しているらしい。人の能力差は普通は2~3倍で、せいぜい5倍。しかし、やる気、「それやろう」、「今日は絶対売るぞ」、「絶対に悪い品物出さんぞ」といった意識は100~1,000倍違う。だから、頭のいい人を採るよりも意識の高い人を採った方が会社はよくなる。
これまで23社の企業を買収してきて、一人も人員整理をしてこなかったと言うが、クビにしなかっただけで、ハードワークを楽しめない人材は不用という考えは徹底している。トヨタからの転職組は辞めないが、ゴーン以前の日産から来たのは半分辞める、ということで、そこに企業の格差を見る。
猛烈なだけでなくアイディアもある。28歳の創業当初は実績がなくて国内で仕事が取れず、自社製モーターの試作品を鞄に詰めアメリカまで営業に行って3Mから受注して漸く成長軌道に乗せた。3Mは発注の条件として工場の視察を要求したが、民家の一角を借りたような粗末な場所は大企業相手にとても見せられない。京都観光と芸者三昧でスケジュールを埋め、視察目的の来日の筈が遂に工場に立ち入らせることなく成約にこぎつけたそうだ。
89年に買収した信濃特機は、HDD用スピンドルモーター市場を二社で95%のシェアを取る、抜きつ抜かれつの競合先だった。技術的にほとんど差がないのに最終的に日本電産が勝ち残ったのは、信濃特機が商社を使った営業であったのに対し、日本電産は全て直販であったからだという。営業の過程で顧客ニーズを汲み取って製品に反映させるマーケティング力が勝敗を分けた。
日本電産の2005年3月期の連結売上高予想は4,800億円、営業利益は485億円、現在のグループ従業員は7.2万人ということだが、2010年に売上1兆円、営業利益1,000億円、グループ従業員10万人を目指すという。そのとき永守氏は65歳。そして、85歳になる2030年には売上10兆円、従業員100万人が目標と高らかに宣言する。あくまでメーカーでありSONYやGEのように金融業はしない。高収益、高株価、高成長を基本にした雇用の最大化、シンプルな経営者の義務には違いない。奇人と言われようが、少なくともこれまでは有言実行を重ねてきた。ビジネススクールでマネジメント理論を習得するとか考えるよりも、こういう非凡な人に接するのが経営を学ぶには余程いいと思う。
続けて、6年前の著書も見つけたので読了。文句のつけようがない。
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by phasegawa | 2004-12-16 13:23 | review